先日、とある自動車評論家が一名亡くなられた。

 先日、とある自動車評論家が一名亡くなられた。そんなニュースが夕方テレビで流れていた。人それぞれ興味の対象は異なるであろう。気にしない人はああそうなんだあ位で受け流して数日で忘れている話題かもしれない。しかし僕はこのニュースはとても印象に残ったのである。

 箱根のターンパイクでポルシェ911を運転している最中に単身自動車事故を起こしたのであった。業界では著名な方で、自動車賞の選考委員でもあったそうだ。どうも運転中に何かしらの理由で挙動が乱れ、ガードレールを突き破り桜の木に衝突して自動車は大破したのだ。

 この箱根のターンパイクは私企業が運営管理する法律上の私道に当たるそうで、比較的速度への取り締まりは厳しくない区間なのだそうだ。だからこそ業界人が自動車を様々な目的で走らせるのだそうだ。事故原因には諸説あるが、桜の花びらで車輪が空転スリップしたとの噂もある。

 ポルシェの自動車は ドイツ自動車産業が持ち得る、その時代の最高の技術と情熱によって作られる。そしてその開発の舞台は世界中のサーキット、公道レースの場である。

 過酷な自動車レースに勝つために技術開発が行われ、その輝かしい戦績を飾ったレーシングカーを公道用のスポーツカーに仕立てるという手法で作られている。一般的に、自動車メーカーが乗用車を製造するのとは全く異なったアプローチによって作られるのである。そうして造られたこの最高技術の結晶は世界中で賞賛を浴びる最高峰の工業製品として世界中のドライバー、自動車好きから愛好されるのである。

 そしてこの事故車両はレース走行も可能なサーキット仕様であるGT3というモデルである。NAエンジンながら大排気量車で獰猛な加速を見せる。もうこのスペックの自動車は日本の道路事情においては全く不必要な高性能を備え、パワーを持ち余してサーキット以外では使い道もないような高級車だ。

 箱根のターンパイクでも恐らくフルパワーでは十分に使いこなすことは難しいであろう。僕はポルシェを一度も運転したことはないからそのような人間がとやかく言うのはどうかと思うが、どれだけ素晴らしい走りをするのだろうか、試乗動画をいくつか見て見てもあらゆる自動車評論家が軒並み嵐のように賞賛するのである。一体全体どんな自動車なのだろうか。著名なハリウッド俳優も何人かポルシェで事故を起こして亡くなっている。これをしてロマンとは甚だ不謹慎ではあるが、それほどのステータスと魔力があるのであろう。